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リールトラブル

私のホームリバーは既に禁漁期間に突入し、雑念が消え、仕事に専念する日々が続いています。

さて、この時期になるとリールの修理の問い合わせが急増いたします。

シーズン中はなんとかやり過ごし、オフシーズンに突入するこの時期に修理依頼しようと考えているみたいです。

 

最も多い問い合わせベスト3は以下の通りです。

①ネジ類の紛失

 ピラーの固定ネジであったり、リールフットの固定ネジであったり、普段なかなか増し締めなどしない場合、いつの間にかネジを紛失している場合が多いようです。

 このネジも、メートルネジであったりユニファイネジであったりと色んな種類があるのです。

 スリワリネジ(マイナスネジ)の小ねじであれば、自分で加工して供給することは可能なのですが、ネジ加工もなかなか時間の掛かる作業なのです。

 

ハンドルノブ破損

 転倒や、転倒の際に竿を放り出してハンドルノブが破損する事例が良くあります。

 ケガをしないのであれば、身代わりになってくれたと考えればお安い事なのですが、やはり愛着のあるリールの破損はショックなものです。

 ハンドルノブもネジ固定されており、メートルネジ、ユニファイネジの違い等がありそんなに簡単な作業ではありませんが、対応させていただいております。

 私のリールには以前から何度も申し上げているメタルコアを介在させているためノブが破損しても、メタルコアを回せばスプールを回すことができるので、メタルコアはいわゆる保険みたいなものとして考えて頂ければいいと思います。

 もちろん、メタルコアなしのノブ加工も引き受けております。

 

③フレームの曲がり

 これもハンドルノブの破損と同様転倒などにより、フレーム自体が曲がってスプールと干渉してしまう状態の事です。

 フレームの曲がりを完全修復するのは難しいと思いますが、干渉がないように修正することができるのではないかと考えています。

 

 

最近のリールはほとんどがアルミフレームにアルマイト処理を行っているものが主流です。

アルマイト処理を行うと表面の硬度が向上し、キズがつきにくいのですが、アルマイトの被膜の厚み自体がそんなに厚膜ではないので、転倒したり、大きな衝撃が加わればアルマイト処理の表面よりも深いキズが入ってしまいます。

 

キズ部分を修正しようと研磨したりするとアルマイトが削れて地肌であるアルミがむき出しになって、更に汚くなってしまったりするのです。

 

素材のままであればキズが入れば磨けば元通りになります。

私の加工するリール達が素材のままの材料を使用するのは正にここに理由があるんです。

 

少し話がズレてしまいましたが、リールのトラブルに関しては、現物確認、現物合せの加工が必要になる場合がほとんどなので、リール本体を送付していただき、状況を確認して加工することになります。

中には現物確認しましたが、修復できませんと言うものも存在します。その場合は送料が無駄になってしまいますが、事前に写真等で不具合個所を確認しておけば無駄金を使わないで済むと思います。

 

最近では、スリワリネジを扱う業者が少なく、数個程度のネジ加工を依頼すると非常に高価になってしまうことがあります。

 

私の場合、たくさん加工することはできませんがネジ1個でも、ネジ形状を計測して、同様のねじ加工をするように心掛けています。

自分で加工するので、すべてのパーツは自分で設計するのですが、設計って難しいんですよね!

ベストデザインと言うものがあるわけでもなく、すべては自己判断になってしまうので、個人の嗜好が強烈に出てしまうのです。

S字ハンドル1個でも色んな形状が考えられるわけで、図面に描いた状態と、実際に加工した状態とではイメージが異なることも多いのです。

 

S字ハンドルで思い出したのですが、写真のようなS字ハンドルであれば左巻きのハンドルになるのが普通なのですが、リールに中にはこのハンドル形状で右ハンドルの場合があり、自分としては非常に違和感を覚えてしまうことがあります。

 

私が加工するリールは基本は左巻きなのですが、右巻きの依頼があった場合はS字ハンドルも反転した形状にしております。

 

もし手持ちのリールで、S字ハンドルの向きに違和感がある場合はS字ハンドルの作り直しなども賜ります。

リールのトラブル   なんでもと言うわけにはいきませんが、愛着のあるリールを復活させるためのお手伝いをさせて頂きたいと思います。