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リールフットの加工

リールフットの加工依頼がありました。

お気に入りのバンブーロッドにHardy PerfectリールやBougleリールが装着できないとのことで、相談を受けました。

 

他のリールもそのロッドに装着できないとのことから、リールの問題ではなく、ロッド側のリールシートフィラーを加工したほうが良いのではないかと思ったのです。

 

しかしながら、更にお話を聞くと、どうやら装着したいバンブーロッドと言うのは某有名メーカーのアンティークロッドでして、結構なお値段しそうなロッドなのであります。

 

私が思うに、そのロッドには一切手を加えることなく、リールフット側で対処したほうがいいだろうと言う思いでした。

幸いオーナー様も同様の意見であり、リールフットを作り直すことになりました。

 

まず、忘備録として、通常のロッドのリールシートフィラーはリールフットが載す部分がフィンガーネイル加工、または偏芯加工されており、その除去量話を聞く2.4~2.5mm程度で、リールフットをCap&Ringなどの金具で固定する仕組みですが、このバンブーロッドのリールシートフィラーは1.9mm程度しか除去加工されていないのです。

 

また、リールフットが載る部分のRは13mm程度あり、通常のリールフットのRに対してかなり大きなRになっているのです。

 

通常、HardyのPerfectやBougleのリールフットはアリ溝加工された本体とリールフットをスライド固定して、ネジ止めされる構成なのですが、

当方の設備と技術ではそのアリ溝加工が出来ません。

 

その旨を伝えた上で加工させていただきました。

まず、リールフットの肉厚を通常最薄部分1mm程度のところを0.5mmにして設計し、フットのテーパーもなだらかになるように設計しました。

 

材料は快削洋白を希望されておりましたので、ニッケルシルバーで加工を行ないました。

 

まず1個加工を行ない、リールに装着してみたところ、うまくネジ穴があっておりませんでした。

 

この寸法計測がなかなか難しく、特に海外製のものはインチ基準で寸法を決定している場合、ミリ単位に変換すると変な端数が出てしまうのと、ネジ穴を計測する場合、誤差をはきやすくなります。

 

ほぼ1日がかりの作業は無駄になり、翌日仕切り直しで加工し何とか装着できることを確認しました。