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リール修理

最近の修理履歴ですが、クリッカー部分を固定しているカシメパーツの破損修理依頼が2件ありました。

このカシメパーツ破損はハーディーリールであり、最近になって良く修理依頼のある現象です。

当方ではカシメ加工は出来ないので、カシメ形状に似たネジ締め方式で作製しております。

カシメ部が無くなった部分の穴径は2.5mm程度であり、この穴径に合うM2.6mmのネジで作製しました。

 

加工形状は他方のカシメ部形状を採寸すれば良いのでそれに合わせて加工します。

5mm径程度で高さ7mm程度の小さなパーツは加工順序を考えて加工を始めないと旋盤にチャック出来ないサイズなので何度も加工順序を考えながら進めていきます。

 

 

 

特に写真裏面側の固定部は更にパーツが小さく、φ5.5mmで高さ1.1mmなので、加工に気を付けながら作業を進めていきます。

写真は反対側から撮影したもので、大きなカシメ部の右側部分が、カシメに似せたネジです。

ほぼカシメと同じような形状で加工することができました。

 

話は変わりますが、最近お客さんからの問い合わせで、クリック部分の板バネが折れてしまったので何とかして欲しいとの連絡がありました。

送って頂いた写真を確認すると右巻きとして使用しており、左巻き用の板バネが残っていた状態だったので、左巻き用の板バネを取り外して右巻き用の部分に移植すれば使えるようになりますよとアドバイスすると、無事に治りましたと連絡いただきました。

 

更にはハーディーのBougleリールのスプール固定用センターネジが折れてしまったとの連絡があり、リールを送付いただき確認したところ、折れ込んだネジがネジ穴にはまった状態で、その折れたネジのネジ頭がスプール表面に接着された状態でした。

このセンターネジはUNC1/8の左ネジなのですが、知らない人がスプールを外す際に右ネジと勘違いして力をこめて半時計方向に回してしまって左ネジをねじ切ってしまうことがあります。

 

折れ込んだネジを抜くのは案外簡単で、左ネジなので、通常のM2程度のタップ加工を行ない右ねじ加工してネジを閉め込むと簡単に抜くことができます。

接着されたネジ頭はバーナーで炙って取り外してUNC1/8の左ネジを旋盤で加工します。

NC旋盤の加工プログラムは以前に作製していたものを流用し、1個だけ試作したら問題ないネジサイズに加工できたので、ついでにもう1個だけ加工して、リールに取り付けて無事に修理完了です。

 

このセンターネジ純正品は4300円程度の値段です。

私が加工すると3000円以下で加工できます。

 

無からない仕事ですが、こんな修理をしてくれる町のフライリール修理屋さんが居るということをっ知って頂ければいつかお役に立てる日が来ると思っています。

 

今年に入ってもう10台以上のリール修理を行っています。

他にもロッド用金属パーツの加工依頼や、ウッドフィラー加工依頼、商品の注文、などがありロッドの作製やリール作製を始められない状態ではありますが、3月中に一区切りがつきそうです。

 

少し時間を使って新商品の開発もやっていきたいと思うのですが、日銭を稼がないと中々開発に時間を費やすことが出来ないので、もどかしくもありますが新年度の4月からは試行錯誤しながらの商品開発に取り組みたいと思います。

自分の想像を形にしていく作業はすこぶる楽しく、何度か設計変更を繰り返して製品化していくプロセスを一人で進めていくのはとても楽しいのです。

何故なら、私のアイデアを否定する上司や設計に口出しする人はだれ一人いないので、自分の思うままを形にしていくことができるのは至上の喜びなんです。

 

コンセプトを考え、図面を引いて、加工プログラムに落とし込んで、実際に加工し、組み上げてPDCAを回していくのが楽しい時間であり、満足度が高い仕事です。

その仕事の為に今は永遠と続くのではないかと思えるほどの繰り返しの作業を進めているのですが、漸く出口が見えてきており、気分は上々なのです。